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安全配慮義務とは、企業が守らなければならない労働契約法の1つ

安全配慮義務とは、企業が守らなければならない労働契約法の1つ

 

企業には「安全配慮義務」という従業員を保護するための措置が施されています。しかし、実際にどんな義務なのか具体的な内容や、義務を放棄したときの罰則はどうなっているのか知らない人も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、安全配慮義務の内容を詳しく紹介していきます。職場での人間関係のトラブルやハラスメントで困っている人や、これから事業を起こそうと思っている人はこの記事を参考に今後の対策を立ててみましょう。

 

 

 

 

安全配慮義務とは

安全配慮義務とは「企業は社員が安心・安全に労働できるよう配慮しなければならない」というもので、企業が労働者を保護するための措置です。労働契約法にも定められており、企業が守らなければいけない義務で、工場などで働く人以外にも、事務員や会社員などもこれに該当します。

 

「残業のしすぎ」「上司からのパワハラ」「社員からのセクハラ」などといった一見個人的な問題であっても、企業側は安心・安全に労働できる環境を提供できていないので安全配慮義務違反になってしまうケースがあります。

 

仮に、企業側がこの義務を放棄して訴えられた場合の損害賠償は数百万~数千万円もしくは、それ以上になってしまうこともあるのです。社員を守るためだけでなく、会社を守るためにも安全配慮義務は最低限守らなければならない義務と言えるでしょう。

 

 

安全配慮義務を違反すると罰則がある

安全配慮義務を違反すると罰則がある

 

じつは、安全義務配慮が定められている労働契約法には一律に定められた罰則というものはありません。危険な作業があった場合にはその対策を実施、メンタルヘルスに関して問題があれば改善の処置を。といったように起きてしまった出来事により罰則は変化します。

 

安全配慮義務を違反した場合は、その会社に対して労働安全衛生法12章などの法律に基づき損害賠償が命じられます。近年ではパワハラ・セクハラといった精神的損害であっても民法第415条(債務不履行)などに基づき、企業が多額の損害賠償を請求されるケースが増えてきているので要注意です。

 

 

なにをしたら安全配慮義務を違反したといえるのか

安全配慮義務は「予見可能性」と「結果回避義務」という視点から、違反したかどうかを判断します。

 

たとえば、危険が回避できたにもかかわらず、その業務をおこなわせたせいで事故や疾患が発生してしまった場合などが該当します。また、その問題の改善をおこなわなかった、最悪の結果を回避する努力をおこなわなかった場合なども安全配慮義務違反となります。

 

具体的に安全配慮義務違反にどのような事例があるのか確認してみましょう。

 

残業のしすぎ、多量の時間外労働

月間80時間以上の時間外労働は「過労死ライン」と呼ばれます。この過労死ラインを2ヶ月連続で超えたり、直近6ヶ月を平均して80時間を超えたりして、それが原因となって従業員が亡くなってしまった場合、これは安全配慮義務違反となります。

 

セクハラ・パワハラ

個人的な問題と思われがちですが、社員間でのトラブルであれば企業はその問題を放置してはなりません。あらかじめ予防をしたり解決したりするための配慮がなく、被害者が精神的に病んでしまった場合も安全配慮義務違反となります。

 

また、病がひどく社会復帰が困難となるようなことになってしまったとき、企業は多額の損害賠償が請求されてしまうかもしれません。

 

 

企業がおこなっている対策

企業がおこなっている対策

 

安全配慮義務についてわかったところで、この義務に違反しないように企業がおこなっている対策についても紹介していきます。

 

従業員の健康や労働時間の管理する

過労死ラインを超える労働で従業員が亡くなってしまった場合、それは世間のニュースでも大きく取り上げられてしまいます。自社の信用を失わないようにするためにも、企業は従業員の労働時間管理は最も注意しなければなりません。

 

労働基準法36条に基づいた36協定(時間外労働・休日労働協定)によって1ヶ月の時間外労働は最大で45時間と決まっています。やむをえずこの限度以上に労働しなければならない事情がある際は「特別条項」をつけることもできます。しかし、それでも1年の半分は45時間を超えてはいけません。

 

長時間残業や時間外労働などで過労死ラインをこえた労働をしていた場合には、産業医による面談が必要になってきます。

 

メンタルヘルス対策をおこなう

パワハラやセクハラ以外でも、人間関係や職場環境によってストレスを感じる人は少なくありません。近年では労働者が50名以上いる事業所では年1回のストレスチェックを実施することも義務化されています。

 

ほかにも個人単位でのメンタルヘルスの研修や、労働環境や業務内容の見直し、社内カウンセラーの設置など、企業によってはパワハラ撲滅運動といった人間関係の改善に取り組んでいるところもあります。

 

危険を防止する方法や対策法を教育する

様々な施策を投じても、どうしても目の届かないところで問題は発生してしまいます。そのため、新規の社員にむけた安全衛生教育や、健康診断の受診など、危険を防止する方法や対策法を教育するのも安全配慮義務を違反しないための施策の1つです。

 

 

悩んだときは産業医に相談してみる

普段の業務や人間に悩んで、その会社を辞めようと思うことも多いかもしれません。しかし、生計を立てなければいけないですし、積んできたキャリアを考えると、なかなかスパッと辞めることはできませんよね。そういった場合は産業医に相談してみるのがよいでしょう。

 

産業医とは事業所における労働者の健康管理を支援してくれる医師のことです。産業医は事業所に対し労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができます。産業医から勧告された事業所は、健康に障害を与えているであろうと指摘された作業・業務等においては見直しをして、必要な措置をとらなければなりません。

 

産業医に相談する方法

産業医に相談するには、まず自分の会社・企業に産業医の有無を確認しなければなりません。従業員が50人以上の事業所には産業医の選任が義務付けられているので、上司や会社に相談して診断してもらうようにしましょう。

 

もし50人以下の事業所で産業医がいるかどうかわからないという場合でも、まずは産業医の有無を会社に聞いてみましょう。産業医がいて受診できるようであれば、そのまま会社に頼んで面談までの手続きをとってもらうことができます。いなかった場合には、残念ながら一般のメンタルカウンセラーのもとを訪ねるしかありません。

 

しかし、産業医は産業医とは、事業場において労働者の健康管理等について、専門的な立場からカウンセリングと指導を行うのが職務なので、施術等はしません。もし診察、診断をしなければならない場合は病院に紹介文を書いてもらうことが問題を解決するための最短の手段になるでしょう。

 

 

まとめ

いかがでしたか?安全配慮義務は企業がおこなうべき最低限の義務です。ですが、義務の内容は一律に定められていなく、業種や企業によって配慮すべき点はことなります。職場での業務内容や人間関係で悩んでいるときは自分なりの改善を試みて、それでも難しいときは産業医に相談してみるとよいでしょう。

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